- 実践 WordPress ホーム
- おすすめプラグイン
WP Multibyte Patch プラグインをインストールするかの判断ポイント
WordPress の定番プラグイン WP Multibyte Patch をインストールすべきかどうか判断する際のポイントを説明します。
確認時のバージョン
- WordPress
6.4.3
- WP Multibyte Patch
2.9
WP Multibyte Patch プラグインとは?
WP Multibyte Patch は、日本語などのマルチバイト文字に起因する WordPress 本体の問題を解消・回避するためのプラグインです。 Seisuke Kuraishi さんが開発・公開されています。
WordPress を代表する超定番プラグインのひとつで、 WordPress.org の統計では 2024 年 3 月時点で 100 万インストール以上となっています。
WP Multibyte Patch プラグインの機能
WP Multibyte Patch プラグインは以下の機能を提供しています。
- コメント・トラックバック・ピンバックの文字化け・バグの回避
- 投稿・コメントの抜粋の長さと省略文字の調整
- 文字列のトリム処理における文字数の数え方の調整
- ファイル名にマルチバイト文字を含むメディアファイルのファイル名の MD5 ハッシュ化
- サイト内検索の検索クエリ内の全角スペースの半角スペースへの置換
- 送信メールのヘッダーのエンコーディングの調整
- 管理画面内の
font-style
のイタリック体(斜体)を標準に戻す - クラシックエディタでの内部リンクの投稿検索の開始文字数を 2 文字に変更
さらに、オプションで有効にすれば以下の機能も利用できます。
- フィード XML 内の不正な文字の無害化
- 過去の公式テーマ(
twentytwelve
(2012) からtwentyseventeen
(2017) まで)の Google Fonts 読み込みの無効化 - BuddyPress のマルチバイト関連のバグの回避
(ただし、プラグインのバージョンによって内容は変わる可能性があります)
WP Multibyte Patch プラグインをインストールするかどうかを判断するポイント
端的に言えば、上記の WP Multibyte Patch の機能の恩恵を受けるか・受けたいかどうかで判断するとよいかと思います。
今日の WordPress 利用において個人的に重要だと思うのは次の 2 点です。
- ファイル名にマルチバイト文字を含むメディアファイルのファイル名の MD5 ハッシュ化
- サイト内検索の検索クエリ内の全角スペースの半角スペースへの置換
以下この 2 つの機能について説明します。
「ファイル名にマルチバイト文字を含むメディアファイルのファイル名の MD5 ハッシュ化」とは?
WordPress のデフォルトの挙動では、日本語などのマルチバイト文字をファイル名に含むファイルをアップロードすると、ファイルの URL がリンク切れになったりすることがあります。 これは WordPress に限らず一般によく発生する問題です。
この問題は単純にアップロードするファイルの名前を英数字だけに変えれば回避できますが、不慣れな方はこのことを知らないですし、慣れている方でもうっかり日本語名のファイルをアップロードしてしまうことがあります。
WP Multibyte Patch はこの問題の回避策として、アップロードされたファイルの名前が非 ASCII 文字を含む場合は自動的に MD5 ハッシュにリネームしてくれます。
例えば、 日本語.png
というファイル名は次のように変換されます。
「サイト内検索の検索クエリ内の全角スペースの半角スペースへの置換」とは?
WordPress のデフォルトの挙動では、サイト内検索で全角スペースが用いられるとそれを検索対象文字として認識します。
例えば、検索ボックスに 日本 食事
と打ち込むと、全角スペースを含む 5 文字の 日本 食事
という文字列を含む投稿だけが引っかかります。
日本
食事
という 2 つの単語を含む投稿は引っかかってくれません。
この挙動は全角スペース・半角スペースを意識しない訪問者が WordPress サイト内検索を利用すると意図した検索ができずに問題になることがあります。
WP Multibyte Patch はこの問題の回避策として、検索クエリに含まれる全角スペースを自動的に半角スペースに置換してくれます。
機能の説明は以上です。
管理している WordPress サイトがこれらの機能の恩恵を受けるなら、 WP Multibyte Patch はインストールすべきです。 逆に、これらの機能の恩恵を受けないのであれば必ずしもインストールしなくても良いと思います。
例えば、「ファイル名にマルチバイト文字を含むメディアファイルのファイル名の MD5 ハッシュ化」は、アップロードするファイルのファイル名は必ず英数字だけに揃えるのであれば必要ありません。 「サイト内検索の検索クエリ内の全角スペースの半角スペースへの置換」についても、そもそもサイト内検索機能を利用しないのであればその恩恵は受けません。
といった感じで、 上記の機能の中にサイトにとって有益なものがあればインストールする、そうでなければ必要になるまでインストールしない とするのがよいと思います。
プラグインのアンインストールには時間がかかるのでインストールは慎重に
WP Multibyte Patch プラグインにかぎったことではありませんが、 WordPress のプラグインは一度インストールするとそれが実際に使われているか・必要なのかどうかを後から判断するのに多くの時間がかかります。
インストール時に適切なドキュメントが残されていれば短い時間で判断できる場合もありますが、 WordPress サイトにおいてそのような場合は例外です。 多くの場合ドキュメントは無いか、あってもごくわずかです。
結果として、プラグインをインストールするのはかんたんで一瞬ですが、アンインストールできるかどうかの判断には多くの時間がかかります。
なお、 WP Multibyte Patch プラグインのソースコードは次のページで閲覧できます。 コードを読んで判断したい方は覗いてみてください。